過去から学び、未来を知る
301ギャラリーに入ると、台湾の芸術家、涂維政(といせい)が国立歴史博物館のために制作した作品〈鑑古知來(かんこちらい)〉と呼ばれる「過去を鑑賞し、未来を知る」という意味の作品がご覧いただけます。皇帝が手元に置いて鑑賞した宝石箱「多宝閣(たほうかく)」に収められたオブジェを目を凝らして見てみてください。あなたの記憶を呼び起こすものはありますか?今のあなたの生活にまだ存在している物はありますか?歴史博物館の本質は、文化遺物を通じてその時代の理念や精神を具体的なものにし、物語をつむいで、記憶と文化を受け継いでいくことです。これは当代の台湾人たちが共同で作り上げた作品であり、歴史博物館の当代精神が凝縮されています。
展示会場の中央に位置する〈魂遁之舟(こんとんのふね)〉つまり「魂の脱出船」という意味の作品は、涂維政の代表作《卜湳文明遺跡(ぼくなんぶんめいいせき)》シリーズの代表作の一つです。作者によって虚構化されたこの古代文明の遺物には、マウス、USBコネクタ、ネットワーク スロット、電源コードなどの情報オブジェクトが織なす複雑な紋様に、台湾固有の蝶や植物が加えられ、まばゆいばかりの絢爛豪華なトーテムを作っており、この土地ならではの独特な生態環境とテクノロジーの成果を象徴しています。
何十年もの間、歴史博物館は、収蔵品の研究と展示を通じて、歴史と文化のコアスピリットを継承してきました。同時に、国家画廊を皮切りに、台湾芸術交流のプラットフォームとなり、さまざまな文化的背景を持つアーティストを集めて新しいスタイル、形式を生み出し、国際化を目指しています。改修後の歴史博物館もまた再び社会に歩み近づきました。歴史を媒体に、ダイバーシティとインクルージョンの現代社会とリンクし、皆さんと共に未来を展望します。