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東西橫貫公路 とうざいおうかんこうろ
張穀年(1905-1987)|紙本著色|1968
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「東西横貫公路」は1960年に開通した台湾の東西を横断する高速道路です。この高速道路の開通は困難を極めました。しかし、その雄大で美しい景色は息をのむほどです。作者の張穀年は「東西横貫公路」を題材にした作品を好んで創作しており、この作品は1968年に完成したものです。構図が特殊で、画面の左下隅から右上隅までの対角線で画面を上下に分割しています。

「東西横貫公路」は1960年に開通した台湾の東西を横断する高速道路です。この高速道路の開通は困難を極めました。しかし、その雄大で美しい景色は息をのむほどです。作者の張穀年は「東西横貫公路」を題材にした作品を好んで創作しており、この作品は1968年に完成したものです。構図が特殊で、画面の左下隅から右上隅までの対角線で画面を上下に分割しています。 左半分は、前景の「皴染(しゅんせん)」と呼ばれるひだをつけてぼかす画法で描かれた濃い墨色の岩山、中景の「小斧劈皴(しょうふへきしゅん)」と呼ばれる斧で割ったような薄い墨色の岩ひだ、濃淡が相混ざった階調の墨で染つけられた木々、木々の背後にある雲や霧、そして遠くの山々にいたるまで、全て左上から右下へと斜めに描かれています。右半分は、手前の濃い墨で染めつけられた大木を除いて、中景の岩、道、樹木のたたずまいと筆の勢いはすべてが右上から左下に傾いています。

このような大きな斜めの角度からなる構図は、水平方向や垂直方向の構図がもつ落ち着きや安定感とは異なり、躍動感と不安定さを感じさせます。また、複数の斜線が画面に強烈な方向性を生み、見る者の視線を一定方向へ強く引っ張っぱるため、絵に奥行きを感じさせます。さらに、作者は互いに中央に向かって伸びる左右2組の対角線を利用して、その魅力と緊張感を高め、私たちに高速道路の奥行き、急なカーブ、険しさを感じさせています。

初期の張穀年は各流派の画風に学びましたが、台湾に移住してからは写生に重きを置くようになり、「台湾の風貌」を題材にした作品を中心に画作するようになりました。そして、実際現場に赴き、自分の目で見た風景を伝統的な手法で写生するという新しい絵画路線を生み出したのです。

東西橫貫公路 とうざいおうかんこうろ.
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東西橫貫公路 とうざいおうかんこうろ
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