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三彩天王神像 さんさいてんのうしんぞう
唐時代|陶器
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わたしの眠りを邪魔する奴は誰だ!出ていけ!

仏教が栄えた唐代、「天王俑(てんのうよう)」と呼ばれる仏教護法神と武士を組み合わせた人形(ひとがた)の副葬品が誕生しました。「天王俑(てんのうよう)」は仏教の正法を守護すると同時に悪霊を退け邪気払いもするとされています。

このカッと目を見開き、わずかに口を開いた、精悍な表情の「三彩天王神像」は、鳳凰の兜と甲冑をつけ、足には長靴を履いています。にぎり締めた右手を高く振り上げ、左手を腰に当てて、暴れる小鬼を踏みつけにしています・恐れおののく小鬼は緑の帽子をかぶり、上半身裸で、黄色の半ズボンを履いています。この像を見ていると、疫病神を追い払う鍾馗(しょうき)という神様が幽霊を飼いならすという中国の物語を連想させます。

「天王俑」の顔、首、手、鳳凰の兜には釉薬がかかっておらず、胴体には緑、茶、白などの三色の釉薬が使われています。平塗、掛け塗、濃絵(だみえ)などが駆使され、明るく生き生きとした色を出しています。唐代の豊かで活気のある文化を体現していると言えるでしょう。

唐三彩の「三」は「たくさん」という意味を表していることから、「唐三彩」とは唐代の6色から7色のカラフルな陶器のことを指します。三彩陶器は、まず陶土と呼ばれる粘土で作った陶胎(とうたい)を1100度の窯で素焼きします。その後、釉薬を掛け、約800度の低温で再度焼きます。釉薬が流れる特性を活かした作品が多く、異なる色の釉薬が混ざり合い、色彩豊かな美しさを呈しています。

「唐三彩」の作品は多種多様ですが、主に人形、動物、道具の3種類に分けられます。日用品としてはあまり使われず、主に副葬品として使われていました。これは釉薬の融点を下げるために使われるフラックスに鉛などの人体に有害な金属が使用されていたからです。

三彩天王神像 さんさいてんのうしんぞう .
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三彩天王神像 さんさいてんのうしんぞう
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