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綠釉水注 りょくゆうすいちゅう
唐時代|陶器
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この液体を入れる容器は、細長い首となで肩の線がエレガントで繊細な印象を与えます。広い胴の部分が安定感を与え、片側の高くカーブした取っ手が全体の形状を軽やかに見せます。器全体に緑色の釉薬がかかっており、所々剥がれ落ちている箇所もありますが、焼成中の素地に付着した薪の灰が自然に釉薬がかかった状態になってできた斑(むら)を持つ独特の美しさを呈しています。

唐代の水差しは一般に胴が太くて注ぎ口が短く、質素で落ち着いた形をしています。ですから、この水差しの形は珍しい形だと言えます。自然釉の斑を持つ歴史的にも文化的にも重要なこの作品は、美術的価値も高く、重要文化財に指定されています。

「水注(すいちゅう)」という名称は2つの異なる器を表します。一つは書道で硯に水を注ぐのに使う、小さくて精巧な水差しのことです。主に玉や陶器でできており、「水滴(すいてき)」または「硯滴(けんてき)」とも呼ばれます。

しかし、この「水注」はかなり大きく、形がペルシャのササン王朝で流行した金属製の盛水器や酒器の「執壺(しっこ)」に似ています。唐代の記録によると当時は「執壺」を「注子(ちゅうし)」と言ったそうです。唐の時代シルクロードの隆盛により中国と西洋の交流が盛んになりました。ペルシャ風習を持つ胡人は宮廷への貢物として金銀の瓶や壷を大量にもたらしました。唐代の匠たちもこれに刺激を受け新しいデザインを創作するようになったのです。この文化遺物は唐の時代と外国との関係の象徴であり、貿易と文化交流の証人なのです。

綠釉水注 りょくゆうすいちゅう .
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綠釉水注 りょくゆうすいちゅう
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