コインがどのように作られるのかご存知ですか?
古代中国では銅、鉄、土などで作った「銭範(せんはん)」と呼ばれる鋳型を使って鋳造していました。この一組の銅製の「銭範」は、新莽時代の「大泉五十」という貨幣の鋳造に使用された表と裏の鋳型です。表の鋳型には篆書体で「大泉五十」の反転文字が書かれていますが、裏の鋳型には文字がありません。
二つの鋳型の左右には各々一列に貨幣の型が並んでおり、その間を流路が一本通っています。よく見ると、流路と貨幣が繋がっているのが分かりますよ。鋳型にあるほぞとほぞ穴が確認できますか。裏の鋳型には2つの円い凸点があり、表の鋳型には2つの円い凹みがあります。このほぞとほぞ穴を合わせると、二つの鋳型を一つに固定することができます。表と裏の鋳型を一つに組み合わせた後、溶かした銅を注ぎ口から流し込むと液状の銅が流路を通って一つ一つの貨幣の型に流れ込みます。銅が冷めたら鋳型を開けて取り出し、研磨にかけて完成です。
この一組は新莽時代の典型的な貨幣の鋳型で、保存状態がよく、現存する数少ないものです。新莽時代の貨幣の鋳造法や鋳造技術の水準を研究する上で非常に価値のあるものと言えます。